ビア・カンペシーナ東南・東アジア地域会議に参加して 齊藤富喜子(岩手県農民連女性部)農民連女性部役員(2026年01月19日 第1683号)
多国籍企業から農地と食料主権を守る
ビア・カンペシーナの運動を実感
地域会議に参加する齊藤さん
インドネシアのスマトラ島・ブンクルで、2025年12月8日から12日の5日間、国際農民組織ビア・カンペシーナ東南・東アジア地域会議が開催され、農民連から国際部の岡崎衆史部長と通訳者の千種享子さん、女性部から私、齊藤富喜子の3人が参加しました。会議にはインドネシアをはじめ、フィリピンや東ティモール、韓国、日本など9カ国11団体のほか、ミャンマーからもオブザーバー参加がありました。
高市首相就任した日本に注目集まる
村人と交流
会議初日は、地域のリーダーを務める2人の国際調整委員があいさつし、スタート。開催国のインドネシア農民組合(SPI)からの活動報告に続いて、各国から政治情勢などが報告されました。
農民連からは、右翼的な高市早苗氏が首相に就任し、極右・排外主義の勢力を取り込みながら、大軍拡と大増税の道を進んでいることを報告し、大きく注目されました。
また、25年6月にビア・カンペシーナ東南・東アジア地域の女性会議が日本で開催されたことや、第30回気候変動枠組み条約締約国会議(COP30)への代表団派遣の様子などの報告がありました。
クーデターで農地が荒廃する国も
農村訪問を多数の住民が歓迎
2日目は、ミスティカと呼ばれる小寸劇やダンスなどの文化交流で始まり、各国での農民運動が紹介されました。
タイの農民からは、植林活動を進めるなど、小農が地球を守る運動に取り組んでいることや、ビア・カンペシーナを通して世界的に連帯しながら気候変動に対する運動を進めていること、支配層が気候変動解決に力を尽くさないことへの怒りなどが語られました。
韓国女性農民会(KWPA)の代表者は、リーダーシップトレーニングやアグロエコロジーの学校を立ち上げたことを報告。ミャンマーの参加者は、「2021年に軍事クーデターがあり、戦争で農耕地がメチャクチャになっている。自由な発言ができず、軍隊に捕まる。パソコンを国外に持ち出せない」と話していました。
大企業から農地を取り戻すたたかい
3日目には、インドネシアでの農地改革のたたかいを学びました。
開催地のブンクルでは、土地をめぐるたたかいで、5人もの死者が出ているそうです。大きなコーヒー農園がつくられ、警察やマフィアが来て、30人以上が連れ去られるなどの事件が起きる中で、2010年には農民たちがSPIと連携して、2つの地域で農地を取り戻すというたたかいに発展。「企業が政府の役人とつながり、無法がまかり通っている。政府は農民を守らず、多国籍企業がもうけているだけだ。8人が投獄されたが、デモで解放された」と言います。
そんななかで、女性たちが協同組合をつくり、パイナップルの売り先をみつけ、がんばっていることも報告されました。
またインドネシアでは、パーム油の農園開発で森林破壊が進み、町にスマトラ虎が出没する事態にもなっており、SPIでは森林破壊を止める運動にも取り組んでいると話していました。
最終日には、農村訪問が行われ、アグロエコロジーに取り組む生産者や、森林地帯に住むSPIメンバーの紛争の現場を訪問。この地域では交流会も開かれ、200人が歓迎してくれて、熱い団結の呼びかけに、大盛り上がりとなりました。
アジアの国々と日本の農政に共通点
地域会議を通して感じたのは、このアジア地域では、今なお農地改革が大問題になっていることです。
そして、小農が追いやられ、大企業のもうけにつながっているという点では、日本の大規模化を進める農政とも共通点があると思いました。日本の農政も商社などの多国籍企業を有利にし、政府はそれをさらに進めようとしています。食料自給率向上に真剣に取り組まないのは、その証しではないかと思います。
この流れはアジア各国でも同じで、WTO(世界貿易機関)やFTA(自由貿易協定)などの貿易制度が大企業を助け、小農の権利や食料主権を侵害し、これに反対して、団結し、たたかっているのがビア・カンペシーナなのだと実感した会議でした。

