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水田・稲作を破壊に導く高市内閣(2026年01月19日 第1683号)

水田政策の完全な終えん 食糧法「改悪」
国産米を減らしてアメリカ米を備蓄

止まらぬ米価下落 深刻な経営悪化

25年3月30日に都内で行われた「令和の百姓一揆」

 2023年産米不足から始まった価格高騰、60万トンの政府備蓄米放出(ダンピング販売)と20万トン近くに急増した輸入米で供給量が増えた結果、高騰した24年産米在庫も増加しました。
 そして、25年産米生産量は前年比66万トン増の748万トン。697~711万トンに増えた政府の需要見通しと比較しても、市場での過剰感はぬぐえず、米不足が進行していた段階で25年産米の概算金・買取価格が設定されていたことから、全国の集荷・米卸業者等は高値での新米の仕入れを余儀なくされました。
 この結果、25年産米取引は急ブレーキがかかり、スポット取引価格は年末にかけて大きく下落し、集荷業者の多くは資金繰りをはじめ深刻な経営悪化に見舞われる事態となっています。
 一方で、25年産相対価格は過去最高水準であり、店頭価格に反映されるまでには至っていません。消費者価格が下がったころには、少なくない事業者が倒産しかねない事態です。

食糧法「改正」で米不足・価格高騰の責任を生産者に

 コロナ禍の需要減で発生した市場在庫を生産者への減産強要で処理した政府は、23年産米の不足を招き、同時に価格高騰と備蓄制度を破壊するという異常事態を放置。また25年産備蓄米20万トンの買い入れを行わないまま、主食用米増産と言ってはばかりません。26年産米が「需要に応じた生産」をできず、米価下落をさらに招けば、その責任は生産者にあると言わんばかりの姿勢です。
 政府は、27年度から作物ごとに支援する政策に転換する、水田活用直接支払い交付金の見直し(実質的「廃止」)を決定。水田政策の全面転換を前に、米政策からの撤退の仕上げのための食糧法「改正」法案を通常国会に上程することとしています。
 今回の食糧法「改正」は、米農家と生産力を削り、自給力のある米も輸入依存を強め、食料「安保」もアメリカに従属することを国民に求めるものです。米不足・価格高騰の責任を生産者に押し付けながら、米の価格と需給の安定に関する政府の役割をさらに放棄しようとしています。

「生産調整」を削除し、「生産者責任」を法定化

 1969年に「米生産調整対策」として始まった「生産調整(方針)」を法律条文から削除し、「需要に応じた生産」に置き換えるとしています。
 すでに「生産数量目標の配分」は廃止され、「生産調整方針の認定」も形がい化し、文言を削除し、生産者自ら主体的に努力する「需要に応じた生産」を法定化する、まさに「農家自己責任法」です。「需要に応じた」生産が実行できなければ価格も下落し、所得補償・価格保障は一切拒否し、米価については「コスト指標」でお茶を濁そうとしています。
 誤ったマスコミ報道により、生産調整が米価維持のために実施されてきたかのような誤解がまかり通っていますが、政府米買い入れが備蓄米に限定された棚上げ備蓄に移行するまでは、政府の在庫負担軽減が主な役割でした。流通の主体が民間流通米に移行してからは文字通り市場任せとなって、米価はほぼ一貫して下落し続けました。
 そして「生産調整」が条文から消えれば、関連予算もなくなり、水田活用直接支払い交付金も廃止されます。
 27年度に予定している「水田政策の見直し」は、農政から「水田政策」がなくなることを意味します。

備蓄制度を破壊、食料「安保」もアメリカ従属

 需要量の増加等による供給不足にも対応するとして、備蓄米の「定義」を見直すとしています。備蓄とは「米穀の生産量の減少によりその供給が不足する事態に備え、必要な数量の米穀を在庫として保有することをいう」と定義。民間備蓄とは、現物在庫が存在しないということを意味し、備蓄米としての機能を失くし、何の役割も果たさないものとなります。
 備蓄の一定量を、民間に肩代わりさせるだけで、保管管理経費を軽減させることだけが目的です。また、主食用米とは別枠で生産している備蓄米「枠」が削られ、国産米の減少につながることが懸念されます。
 ミニマムアクセス米の備蓄米利用も確実です。アメリカ米輸入はすでに拡大しており、30万トン以下まで減少した備蓄米を復元することもなく、民間在庫とアメリカ米の備蓄という、食料安全保障とは程遠いものになり、看過できるものではありません。
 また、輸入米は精米が基本であり、数年間も保管できるものではなく、毎年更新のような形でアメリカ米が主食用に食べさせられることにもなりかねません。
 米の価格と需給安定の役割を放棄する食糧法「改正」に反対する世論と運動が求められています。