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日本農業・食糧崩壊の危機を打開する 緊急シンポジウムin東京(2026年03月02日 第1689号)

所得補償・価格保障で国内農業守れ

横断幕を手に、講師、パネリスト、呼びかけ人の皆さん

会場いっぱいに詰めかけた参加者

 生産者と消費者がともに集い、日本の食と農の未来を考えようというシンポジウムが2月10日、参議院議員会館で開催され、会場いっぱいの120人が参加しました。主催は農民連関東ブロック協議会などでつくる同シンポジウム実行委員会。

農と食の危機は国家存亡の危機

 主催者を代表して埼玉農民連の立石昌義会長が開会あいさつし、「先日発表された2025年農業センサスでは基幹的農業従事者数がこの5年間で34万人も減少している。まさに国家存亡の危機。この事態を打開するために、大いに議論していこう」と呼びかけました。
 東京大学特任教授の鈴木宣弘さんが記念講演しました。世界中で異常気象が頻発する一方、中国をはじめ世界中で食料需要が増大し、すでに日本が輸入農産物を“買い負ける”事態が起こっていることを指摘。肥料や種子をはじめ農業資材の輸入も危機に直面し、「金で買えない事態に、金で買うことを前提にした食料安全保障では、国民の命は守れない。市場競争任せになるのではなく、国内の食料生産の維持を」と述べました。
 また、「各地の農家の踏ん張りが希望の光だ。消費者も安ければよいではなく、安全・安心な国産の、地元産の農産物を食べて、生産者を支えよう」と熱く語りました。

生・消の共同で農業生産守ろう

 パネルディスカッションでは、消費者、お米屋さん、生産者、それぞれの立場から4氏が登壇。
 主婦連合会副会長の田辺恵子さんは、「消費者の権利を確立し、命と暮らしを守る社会」を目ざす消費者運動にとりくんでいることを報告。昨年11月に「消費者と生産者を守り、持続可能な農業政策の推進を求めます」という要望書を国などに提出したと述べました。
 新日本婦人の会茨城県本部副会長の河野恭子さんは、40年近くに及ぶ農民連との産直運動などを振り返るとともに、「令和の米騒動」では、新婦人と農民連で学習と議論を重ねるなかで産直米の価格を決めてきたことを発言。「国民の誰もが安全な食料を食べ続けられるよう、国の予算で日本の農業を守ってほしい」と訴えました。
 生産者から直接仕入れた米を扱う「米工房ひろおか」の廣岡幸子さんは、「ごはん党」というグループでのお米アンケートを紹介。米農家の危機的状況を知らせると、「適正価格でお米農家を守れるよう、政府はどうにかしてっていう声が一番多く、次は国産米が食べたいが多かった。真実を知れば、買う側も農家さんのことを考えるようになります」と語りました。

第一次産業の担い手に補償を

 千葉県匝瑳(そうさ)市の栄営農組合前会長の伊藤秀雄さんは、12人の仲間で180ヘクタールの米作りをしている現状を報告。「農水省は令和の米騒動の原因を『需要を見誤った』と言うが、猛暑が2年続いてクズ米が大量に発生し、生産量の計算を間違ったのではないか」と指摘しました。そして「令和の米騒動で、生産者の現状が報道される機会になったのは、良かったと思う。食料安全保障だけでなく、国土保全も担う第一次産業の担い手である私たちにはその対価が保障・補償されるべきだ」と訴えました。
 集会の最後に、農水省予算を5兆円以上にすることや備蓄米の買い戻し、新たな所得・価格保障制度などを求める農水省への「緊急要請」を拍手で確認しました。