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国産米の安定供給を脅かす輸入増許すな(2026年03月02日 第1689号)

アメリカ米輸入50万トン超へ
アメリカとの約束を忠実に実行する日本政府
米価高騰で関税・民間輸入が激増に

 2025年度のアメリカ米の輸入実績は、毎年77万トン輸入のミニマム・アクセス(MA)米のうち33・7万トン(2月一般入札分まで)となり、主食用のSBS輸入分も10万トンのうち6・1万トンとなりました。
 さらに23年産米不足や、備蓄米放出の遅延といった政府の失政による米価高騰から、民間業者による輸入も激増し、7・6万トンものアメリカ米が輸入されました。実に玄米換算で約53万トンにのぼり、国内生産2位の北海道の25年産生産量を超えるものとなっています。
 3月に実施される最終のMA米入札でさらに上積みされることになります。
 昨年7月、日米関税協議で、アメリカ産米の輸入「75%増」を合意した日本政府は、民間輸入を含めたものとはいえ、毎年約35万トンを固定的に輸入してきた結果、アメリカ米は75%増の60万トンに近づくように輸入拡大を実行してきたのです。

1カ月前の精米販売報道されず

 国産米の低米価が続く中で、2017年の10万トンを最後にSBS輸入も低調となり、22年度の輸入はわずか1・3万トン程度まで縮小していました。しかし23年産米の不足と価格高騰から、24~25年度は10万トン全量が奪いあうように落札され、昨年春以降は、1キログラム当たり関税341円を支払う民間輸入も10万トン(玄米換算)に及びました。
 量販店などでは競い合うように、外米が店頭に並び、マスコミでも大々的に外米特集などを流していました。
 しかし、台湾やベトナムから輸入されたものは、日本米と同じ「短粒種」であり、食味も国産米との違いはあまりないと言えます。アメリカ大使館で大々的なイベントを開催し、1・4万トンもの輸入・販売をした大手量販店のアメリカ産米「中粒種」は、店頭では、一般に言われるほどには売れることなく、突然店頭から消えたかのように、業務用米等へと流通していくこととなりました。
 精米輸入が基本の外米は、販売時には、ほとんどが「輸入年月(旬)」で表示され、実際の精米時期はアメリカ米の場合は、さらに1カ月程度遡ることになります。量販店でも精米後1カ月以上経過したお米を店頭に並べることはありません。
 もともと、大手外食チェーンではアメリカ産米の使用が長年継続されており、中・外食向け300万トン程度のうち約20万トンの外米がすでに供給されています。その結果、25年産米の国産業務用米が行き場を失い価格暴落を起こしています。ところが財務省はSBS輸入枠を増やすことで、安定供給につながるとまで無責任に言っています。

リスクはすべて農家や国民に

 政府備蓄米をなし崩し的に縮小し、MA米を備蓄用にと財務省も言っていますが、輸入米はほぼ全量が精米なので、玄米とは違い品質劣化が激しく、5年間も保管はできません。このため、備蓄運営が見直され、毎年のように更新やSBS枠の拡大で主食用に利用拡大することも進められようとしています。
 一方、国産米は「需要に応じた生産」を推し進め、生産者には生産抑制で米価維持を図れと言い、米不足・価格高騰を招いています。このように生産者・流通業者に困難を強いてきた一方で、消費者向けにアメリカ米を定着させようというのです。
 さらに、国の責任を放棄することをねらい、自民党・財務省・農水省が今特別国会で食糧法の改悪をねらっています。このような詐欺的行為を許すわけにはいきません。
 「カルローズ」の産地、カリフォルニア州での「中粒種」米生産量は160~180万トン程度ですが、22年には90万トンまで減少し、日本のMA米輸入価格も爆上がりした結果、アメリカ米の輸入量も、24万トンまで縮小しました。もし、国内需給に一定量のアメリカ米が定着してしまえば、アメリカでの豊凶、価格変動が日本の米需給に直接影響する事態となり、日本の食料安定供給にも、さらにリスクを与えることになるのです。
 今は「アメリカ米を買え」と押し付けてくる一方で、アメリカが将来にわたって日本への輸出に責任を持つ保証はありません。アメリカに隷属する自民党政治から脱却し、所得補償・価格保障、国の責任による備蓄・需給コントロールの実施によって、日本の農家を支え、農業を守り、安定供給を確実なものにしなければなりません。