旬の味(2026年03月23日 第1692号)
先日、地域の子ども食堂で「命をいただく体験」をテーマに、ニワトリの解体とかまど炊きご飯に挑戦した。普段は食卓に並ぶ鶏肉も、命の姿を目の前にすると見え方が少し変わる。そんな体験を子どもたちに届けたいと思った▼かまどを担当したのは高校生ボランティアだ。ネットで調べた水加減を頼りに「これでいいのかな」と試行錯誤。私は「失敗してもいいよ」と声をかけながら、一緒に火を見守った。便利さが当たり前の日常の中で、不自由さを楽しむ時間は、それだけでぜいたくな学びに思えた▼一方、ニワトリの解体では、最初子どもたちは遠くから見ているだけだった。しかし時間がたつにつれ少しずつ近づき、最後には羽根をむしり、調理を手伝う子も現れた▼スーパーに並ぶ切り身からは見えにくい「命の形」。それを体験を通して感じた子どもたちの表情は、どこか誇らしげだった。農の現場には、食べることの意味を伝える力がある。子どもたちの笑顔を見ながら、そのことを改めて感じた一日だった。(み)

