「山とともに生きること」は私たちに何を伝えるのか!?(2026年03月23日 第1692号)
映画紹介 映画『山人-縄文の響きが木霊する-』
菅家藤一さんの山での営みを追う
主人公の菅家さん(映画ホームページから)
「山人」は「やまんど」と読みます。映画「山人-縄文の響きが木霊する-」は、福島県の奥会津、三島町の間方(まがた)地区に暮らす菅家藤一(かんけとういち)さん(73)の営みを収めたドキュメンタリー映画です。
“山を知り尽くした男”と呼ばれる菅家さんは、1年を通して山に入り、半世紀以上にわたり山の恵みを得ながら生活をしてきました。映画では春先の山菜採り、秋のキノコ採りなどのさまざまな場面に監督の原村政樹さんが同行して菅家さんの息づかいを伝えます。
“奥会津の熊狩りの第一人者”と言われる菅家さん。真冬の山奥、冬眠中の穴に入って熊を起こし、出てきたところを仕留める映像は衝撃的です。しかし近年は「年間を通して有害駆除として熊を罠(わな)でとるだけになった」と語る菅家さんは、私たちがこの間報道などで触れてきた熊に関する知識やイメージとは全く異なる価値観を教えてくれます。
山ブドウやマタタビの樹皮を編み込んでカゴなどをつくる伝統工芸、「編み組細工」名人でもある菅家さん。映画には、三島町に移住し、編み組細工の職人になるために菅家さんのもとで修行する青年2人も登場します。「編み組細工だけでは家族を養えない。材料を山から切り出し、裁断し、製作する過程を考えたら、年間でつくれる作品は多くて20前後」と話す菅家さん。青年たちは薪(まき)づくりなどの生活の手段も学びます。
1年を通して山に入り、その時期、その場所から得られるものを得る。「それは生活の糧を得るためであり、現金調達の手段であり、“遊び”でもある。だから苦痛はない。楽しい人生」と語る菅家さんの生き様から私たちは何を学ぶのか。
“山とともに生きること”を通じて、“今を生きること”とはどういうことなのかを考えさせてくれる作品です。
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上映時間は約72分。東京「新宿K′scinema(ケイズシネマ)」で3月28日から上映開始。詳細は映画ホームページをご覧ください。

