外国人不法就労通報報奨金制度 茨城県が3月県議会に条例案を提出(2026年03月30日 第1693号)
“排外主義あおる”“人権侵害だ”
県農民連などが県に撤回求め要請
県に要請する茨城農民連の岡野忠会長(右)ら
記者会見をしました
茨城県は不法就労外国人が3年連続全国最多であることなどを理由に、3月の県議会で、外国人不法就労者対策として「不法就労通報報奨金制度」を提案しています。これは「有益な不法就労情報の提供者に報奨金を支給」するというもので4月から実施するとしています。
パブリックコメントを求めている条例案骨子には「不法就労活動の防止に積極的に努めるとともに、県が実施する不法就労活動の防止に関する施策へ協力」するのは県民の責務と記載されています。茨城県は、「不法就労を減らすために情報収集の強化を図り、不法就労を抑制する制度」として何としても推進する構えです。
茨城県には1万2246人(昨年10月末)の外国人就農者がいます。県の基幹的農業従事者数4万2598人(農林業センサス2025速報値)の2割を超えます。農業が盛んな鉾田・行方地域では約4割、筑西地域では3割近くになります。全国の外国人就農者6万4826人の18・9%を占めます。2番目に多いのが北海道で7261人ですから茨城県は突出しています。
担い手不足拍車農業崩壊に導く
この問題で、3月13日に開催された茨城県議会防災環境産業委員会で県の担当者は、「『人権侵害』『排外主義をあおるもの』といった危惧する声が、同制度発表以降県に寄せられ、400件の多くを占めている」と答弁していました。
報奨金目当てに通報することを含め、外国人を疑いの目で見ることになればまじめに働いている外国人まで委縮してしまいます。また農家同士の反目にもつながりかねないなど社会に差別、分断を持ち込むことになる重大な問題です。その結果、茨城の農業をはじめ県内の産業は人手不足に陥ることになります。
いま行政がやるべきことは、「不法就労」がなぜ生じるのか、その大本を解明し、生じないための手立てをとることです。県民と「共生」できる施策に取り組むことです。農家にたいしては人を雇って経営を継続していけるよう支援することで、そのためには所得補償と農産物の価格保障が不可欠です。
茨城農民連は3月4日に、昨年県知事選挙をたたかった、いのち輝く茨城の会、茨城労連、新日本婦人の会県本部、茨城平和委員会とともに県に対して撤回を求める要請を行いました。これを前後して人権団体からも中止の要請が出され、11日には茨城県弁護士会が会長名で反対声明を出すなど反対の声が広がっています。
この制度が全国に波及する恐れもあります。撤回させるためにオンライン署名をはじめ全国からの支援をお願いいたします。
(茨城農民連事務局次長 奥貫定男)

