かんきつ類(湘南ゴールド・レモン)大被害 30年ぶり大雪 観測史上2番目の低温(2026年04月13日 第1695号)
神奈川・小田原市
収穫前のレモン枯れる 湘南ゴールド安値な加工用に回る
収入保険の掛け金への助成を
被害を受けた湘南ゴールドを手にする
青木義隆さん
水分が抜けた果実
枯れたレモンの木を見上げる青木崇さん
今年2月8日に関東地方を襲った大雪。神奈川県小田原市では観測史上2番目の冷え込みと30年以上経験のない大雪に見舞われました。
出荷中のレモンや、出荷直前の湘南ゴールドなど、かんきつ類の生産が盛んですが、これらが大雪と低温の被害を受けました。
凍結で内実がぱさぱさ状態に
小田原市早川の青木義隆さん(74)=神奈川県農民連理事=は「湘南ゴールドは、す上がり(凍結などで果実中心部の水分がなくなり、ぱさぱさ状態になる)の被害で、生食用出荷は1個もできませんでした。一部は皮が加工用に出荷できましたが、生食用の単価が1キログラム当たり600~700円なのに対し、加工用はわずか60円程度。被害額は150万円程度になりそうです」と話します。
同じく早川の青木崇(おさむ)さん(57)は、「うちは湘南ゴールドのす上がりが半数程度ですが、厳しく見るとほぼすべての果実に影響が出ています。外見上は被害が見えず、1つ1つ触って確かめる必要があり、選果が大変です。よさそうなものを見繕って箱詰めしても、水分が抜けて重量不足となり、出荷できないものが多発しました。皮の加工に回せるのは、傷がなくてSサイズ以上のものに限られるので、そう多くはありません」と自らの被害状況を語ります。
“出荷できないがっくりする”
また崇さんは湘南ゴールドの出荷検査立会人をしており、ほかの生産者の被害状況も見ています。「大雪の前に収穫できたハウスで生産している人を除いて、ほとんど生食用の湘南ゴールドは出荷できないのではないでしょうか」と話します。
8日は崇さんの畑ではひざくらいまで積雪があり、最低気温はマイナス7・9度(小田原市)と観測史上2番目の低温に見舞われていました。「低温で実が凍結したのがす上がりの原因ではないでしょうか」と推測しています。義隆さんは「労力をかけて収穫し、いつもの5倍くらいの手間をかけて選果したのに、出荷できないのは収穫できないよりもがっくりきます」と肩を落とします。湘南ゴールドより収穫が遅い品種についても同様の被害が懸念され、「被害がはっきりするのは、全てのかんきつの収穫が完了してからではないか」と言われています。
たくさん実ったレモンが腐って
崇さんの畑ではレモンも大きな被害を受けました。山の斜面の高いところにあり、「8日はひざまで積雪があり、畑に来ることすらできませんでした」と崇さんは振り返ります。
畑の中に入ると、一角に30本ほど植えてあるレモンの木が枯れ、たくさんなったレモンが腐っていました。
「もともと雨が少なく、水不足で木にストレスがかかっていたところで大雪にあい、耐えきれなくなってしまったのではないでしょうか」と原因を推測。一部の木では雪の重みで傾き、根が浮き上がってしまって、「この木は植え替えるしかないですね」と話します。
一部の木にはまた緑の葉が残っていました。「もうすぐ新芽の出る時期です。新芽がうまく出てくれればまだ残せる木もあるかもしれませんが、ほかは植え替えです」と期待をしますが、厳しい状況です。
植え替えしても5年は収穫なし
「収穫は20キログラムコンテナで3箱もあればよいかな。例年は50箱あるので10分の1以下で、しかも加工用にしかならないのでは。レモンを植えて15年になりますが、またゼロからになるのは厳しいです。植え替えから5年くらいはまともに収穫も見込めないので、その間のレモンの収入はゼロになります」と今後の経営にも大きな影響が懸念されます。
義隆さんのレモンも一部の木が雪の重みで枝が折れるなどの被害がでています。「農業以外の収入がある人も多く、収入保険は掛け金負担も重いのでなかなか入れない人もいます。自治体が掛け金への助成をするなどの手立てが必要です」と訴えています。
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農民連は現在、各地の大雪、凍霜害の状況を集約しており、収入保険の掛け金への助成などを農水省に要請する予定です。

