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GMOフリーゾーン運動20周年記念アジア大会 遺伝子組み換え食品・作物のない世界へ(2026年04月13日 第1695号)

アジア各国が連帯して主食を守ろう
運動と取り組みを交流

 GMO(遺伝子組み換え食品・作物)を拒否する地域を広げる「GMOフリーゾーン運動20周年記念アジア大会~GMOのない世界へ~」が3月7、8の両日、都内で開かれました。主催は、GMOフリーゾーン運動20周年記念アジア大会実行委員会で、構成団体には日本消費者連盟、日本の種子(たね)を守る会などのほか農民連も加わっています。

魚類で開発進むゲノム編集食品

参加者全員で記念撮影

GMOのない世界に向けて話し合いました
=7日

 7日のアジア大会では、実行委員長の原野好正さん(OKシードプロジェクト)が、「GMOによって地球や私たちの健康がこれ以上壊されないためにも、いまこそアジアの市民が手を取り合ってGMOフリーゾーンを拡大していこう」と開会あいさつを行いました。
 「遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン」の天笠啓祐さんが「日本における遺伝子操作食品の現状」のテーマで基調報告。GMOに続きゲノム編集食品の登場という新たな段階で、大学やベンチャー企業などがいち早く作物や魚の開発を推し進め、市場化を進めるために政府に働きかけるとともに、表示もなく、規制もない状態で市場化を可能とさせたことを振り返りました。
 2021年9月から、高GABA(ギャバ)トマトの販売が始まり、ベンチャー企業が、異様に筋肉が盛り上がったマダイと、異常に太ったトラフグを作成し、12月から販売を開始。その後、ヒラメを市場化し、ティラピアも市場化を可能な状態にしたと批判しました。
 そのうえで「遺伝子操作食品に反対して、私たちが暮らす地域の活動の中心にあり20年にわたり取り組んできたのがGMOフリーゾーン運動であり、今後も、それぞれの地域での取り組みが全国的につながり、アジアと世界が連帯し、遺伝子操作食品のない世界を作っていくために、一緒に活動を続けていこう」と呼びかけました。

日・韓・台とフィリピン連帯

 遺伝子操作食品に反対する取り組みについて、アジア各国からの報告とパネルディスカッションが行われました。韓国「GMO反対全国行動」のイ・セウさんが報告。同団体は2016年に市民・農民・生協の44団体が集まって結成した運動団体であり、遺伝子組み換え食品の完全表示制や、GMOフリー学校給食、GM作物の商業化中断の運動のほか、最近はゲノム編集を含む新しい遺伝子操作技術に対する規制緩和法案の成立阻止運動に取り組んでいることを述べました。
 台湾無基改推進連盟のチェン・ジュウェイさんは2008年に設立された同連盟が遺伝子組み換え食品への国民の関心を高め、表示制度の改善、学校給食での遺伝子組み換え食材の使用禁止などに取り組んでいることを報告。反モンサントデモを行ったり、講演会や記者会見を開いたりしている活動を紹介しました。
 フィリピンの農家や科学者、市民団体からなるネットワーク「MASIPAG」(マジパグ)のカイル・バーバーさんは、1985年に設立され、数十年にわたり遺伝子組み換え稲「ゴールデンライス」の反対運動を展開。他団体とともにゴールデンライスの商業栽培中止を求める裁判を起こし、勝利したことを発言しました。
 パネルディスカッション「GMOフリーの世界を目指して」では、海外ゲスト3人のほか、生活クラブ東京の守本香さんが報告。生活クラブでは、遺伝子組み換え作物を「作りたくない」「食べたくない」という生産者・消費者の共感を広げる活動として、フリーゾーン運動に取り組み、「遺伝子操作された原材料は受け入れません」と宣言。生命の倫理に反し、企業による種の支配を招く「食べ物の遺伝子操作」に反対していることを紹介し、原材料だけでなく、家畜の飼料なども遺伝子組み換えのものは使わないことを基本としていると発言しました。

国内で広がるフリーゾーン

 GMOフリーゾーンの取り組みの発表では、はじめにキャンペーンの原英二さんが概況を報告。25年度、GMOフリーゾーン運動で登録された農地は5097ヘクタール増の11万2842ヘクタールになり、牧場、森林、海でも追加登録があったと述べました。個人サポーター宣言は2132人増で3万1505人になり、事業者サポーターも10件増えたことを紹介しました。
 その一方で、ゲノム編集食品の届け出は今期も続き、①ゲノム編集トマトの栽培が広がりつつあり、スーパーでの取り扱いも報告され、取り扱い中止要請を送付していること、②ゲノム編集魚類はネット通販で販売されているが、京都府宮津市の養殖場は撤退したことを報告。表示義務のないゲノム編集食品に表示を求める運動として、地方議会の意見書決議を推進する取り組みを進めていると語りました。

各生協と市民が実践と運動紹介

 参加団体からの報告では、あいコープみやぎ、なのはな生協、生活クラブ生協、コープ自然派、グリーンコープ生協の代表が、GMナタネの自生調査、非遺伝子組み換え飼料使用の取り組み、ゲノム編集トマト苗の学校給食への配布反対、表示を求める自治体意見書採択の運動や行政への働きかけの実践が紹介されました。
 京都府宮津市「麦のね宙(そら)ふねっとワーク」の井口NOCO(のこ)さんは、ゲノム編集魚の陸上養殖施設と推進企業の撤退までの経緯を報告し、ゲノム編集トラフグが市のふるさと納税返礼品になっていたものを中止させた運動を語りました。
 OKシードプロジェクトの原野さんは、「ゲノム編集トマト苗を受け取らないで!~全国自治体への働きかけ~」のテーマで報告。各地の生協や市民団体が中心となって、地域の自治体に要望書を提出する運動が広がり、最終的にはのべ1382の自治体に要望書が提出され、849自治体から回答があり、「受け取らない」と明確に回答したのは352自治体、「受け取る」はゼロだったことを振り返りました。
 最後に「本日、私たちは、アジアの仲間とともに強い思いを込めて発信します。国内はもとより世界の人々とともに、遺伝子操作食品を拒否し、GMOフリーゾーンの輪を広げることで、地域の農と食文化を守り、国内はもとより、アジアで、世界で取り組んでいる人たちとともに、食の安全と環境を守ります」とする大会宣言が読み上げられ、参加者全員で確認して閉会しました。

情報を共有して行動を起こそう

 会場にはマルシェのコーナーも設けられ、書籍や農産物、加工品などが展示され、提供されました。
 夜は懇親会が行われ、食事を囲んで参加者が交流しました。
 2日目の8日は、アジアフォーラム「遺伝子組み換え米・遺伝子組み換え小麦など主食のGM化にどう対抗していくか」が行われ、3人の海外ゲストのほか、日本からは日本消費者連盟の纐纈(こうけつ)美千世さんが報告。海外の団体と連携しながらの日本の運動を展開した経験を語りました。
 最後に、実行委員長の原野さんが、まとめと閉会あいさつを行い、「各国で情報を共有しながらつながり、連帯の輪を広げて行動を起こしていこう」と呼びかけました。