自給率向上投げ捨てを先どり 水田つぶしを許すな!(2026年04月20日 第1696号)
食糧法「改定」ここが大問題
全国から怒りの声を大きく

「主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律」(主要食糧法)の改定案が4月3日に閣議決定されました。今回、法案化されて改めて明らかになったことも含めて、その問題点を考えます。
改定の主なねらいは、(1)生産調整を削除し、「需要に応じた生産」で農家の自己責任を明記する、(2)水田活用直接支払い制度の見直しで水田政策を放棄する、(3)国家備蓄の縮小と「民間備蓄」の新設、(4)備蓄米にミニマムアクセス(MA)米を活用する方向を示す--の4点です。
これは、食料自給率向上を投げ捨てた「食料・農業・農村基本法」(2024年改定)の具体化であり、「27年米改革」(25年4月に「基本計画」で決定)を先取りするものです。
「需要に応じた生産」を明記し価格に関与せず
改定案は第1条(目的)に「需要に応じた生産を推進する」という文言を新たに明記し、現行法の「需給及び価格の安定」の文言を「需給の安定を図り、及びこれを通じて価格の安定化を図り」に言い換えました。
「需要に応じた生産」の本質は、「生産が需要を上回り過剰が発生した場合にも、農業者の自己責任で対応することを基本とすべきである」(財政制度審議会2003年度予算の建議)ということであり、米の過剰にも不足にも政府は責任を果たさないことを宣言したものです。
さらに、需給と価格の安定を分離し、需給が安定すれば、そのうち価格に反映するという考えであり、政府は価格の安定に関与しない姿勢を示しています。
また、改定案の目的に「政府による主要食糧の買い入れ、輸入及び売渡しの措置等」と「等」の文字がわざわざ挿入されました。これは新規に導入される「民間備蓄」を想定したものです。
政府の需給見通しも責任逃れ表記に
現行法の第2条は「政府は、米穀の需給及び価格の安定を図るため、米穀の需給の適確な見通しを策定し、これに基づき、整合性をもって」となっていましたが、「需給の安定を図り、及びこれを通じて価格の安定化を図るため、米穀の需給の適確な見通しを策定し、公表するものとし、これを踏まえ」と変えました。
「令和の米騒動」は政府の需給見通しの誤りであるにもかかわらず、「これ(政府見通し)に基づき」から「これを踏まえて」に変更しました。「基づく」でなく、「踏まえる」という比較的軽めのニュアンスが使われ、責任逃れの表記になっています。
さらに第2条にあった「生産調整」の文言を削除。政府は主食の需給安定・自給率向上の手立てを失うことになります。
水田活用直接支払交付金の根拠を失い、見直し・廃止へ
現在、第2条2で、生産調整した場合、他の作物の生産の振興を図ることが政府の義務とされ、「生産調整」の用語がある限り、稲以外の作物の作付けの生産活動の調整は政府の責任になっています。しかし、水田活用直接支払交付金の根拠である「生産調整」の削除により、水田の転作作物への国の助成の法的根拠を失うことになります。
備蓄定義の変更=MA米利用を想定
現行法では、「米穀の生産量の減少によりその供給が不足する事態に備え」となっているのを改定案では「米穀の…供給が不足する事態に備え」となっています。「生産量の減少」は国産米の不作が前提のはずですが、これが削除され「米穀の供給不足」となることで、米穀であれば、国産に限らず外国米でも構わないことを意味します。
生産者の自己責任の明文化
第5条で「生産者による需要に応じた生産」の条項を新設し、生産調整にかかわる政府の責任は一切なくなります。その責任を生産者団体と地方自治体に丸投げし、その内容も助言・援助・情報提供に限られ、あくまで生産者の自己責任の立場を貫徹しています。
国家備蓄を縮小・解体し、民間備蓄を法定化(新設)
民間備蓄は政府備蓄の財政負担軽減ために、民間業者の営業在庫を備蓄とみなすだけです。民間事業者に基準量以上の米穀保有を義務付けるとともに、供給不足の場合、事業者に放出の指示(基準量引き下げ、従わない場合は勧告・公表)を行い、市場に供給する制度設計です。
しかし、通常販売の米と区分管理もしない民間備蓄は、米不足時はすぐに売り切れて備蓄の役割を果たしません。そのため、法人に対して1億円もの罰金刑(第60条)を定め、強制的に従わせようとしています。
「主食の米を守れ」の声を大きく
国民、農民の間には、食糧法改悪の中身がまだ知られていません。学習会を旺盛に開きましょう。地元選出国会議員事務所に声・ファクスを届けましょう。農繁期の忙しい時期でも、田んぼの畔にのぼりを立てるなど工夫した取り組みを。農作業の合間に仲間たちとミニ学習会やユーチューブを見る会などを開き、SNSで農作業風景と合わせて、情報発信しましょう。
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農民連は4月8日に行った長谷川敏郎会長による食糧法改定問題の学習会のショート動画を作成しました。こちらからご覧ください。

