許せない!民間在庫過剰 政府備蓄空っぽ放置して 政府がMA米輸入の入札を実施(2026年06月08日 第1702号)
「備蓄はMA米で」を許すな

農水省は5月22日にMA(ミニマムアクセス)一般輸入米入札を実施し、アメリカ中粒種3万6千トンを落札しました。
昨年6月に小泉前農相が不測の事態に備え、緊急的に前倒し輸入を行ったのに続き、今年はさらに1カ月の前倒しです。
例年、7月~8月に泡盛の原料用などのタイ米を対象に実施していた第1回入札を、5月にアメリカ中粒種を中心に入札するのは異例です。
日本農業新聞は入札したアメリカ米について「主食用に放出する可能性も考慮したと農水省は言っている」と報道しています。
いま、農家は、民間在庫がかつてない過剰との報道を受け、今年出来秋の米価暴落の不安を抱えながら田植えに取り組んでいます。一方で、関係機関は「需要に応じた生産」を掲げ、主食用米をやめて米粉用米や加工用米、輸出用米に切り替えるよう再三にわたり求めています。
米の民間在庫が近年で最大の277万トン(3月末)に達している最大の原因は2025年に放出した政府備蓄米(59万トン※)分をいまだに買い入れせず、政府備蓄が空っぽなのに25年産(21万トン)を買い入れしなかったことなどによるものです。合計80万トンを直ちに政府が引き取れば、民間の過剰在庫は解消し、国産米備蓄も復元できます。飼料用米が20万トン不足なら20、21年産の古い政府備蓄米24・5万トンを放出し畜産農家を支援すべきです。
過去5月にアメリカ中粒米の入札を実施したのは、2011年の東日本大震災・福島原発事故で14万トンのお米が消失した直後の緊急事態だけです。民間在庫の過剰と政府備蓄の枯渇を放置したまま、わざわざ「いざという時」を想定し、輸入を急ぐ必要は全くありません。
トランプ米政権の要求通りにアメリカ米の輸入拡大を進める高市政権は、政府備蓄米をMA米で代替しようと狙っています。こうした動きに農民連は断固抗議します。
※注 備蓄米(59万トン)のうち、買い戻し条件付き契約は、江藤入札米31万トン。小泉随意契約米(実績28万トン)に買い戻し条件契約はありません。
しかし、放出しすぎた28万トン分も、過剰在庫から買い入れすることで、需給の安定にはつながります。
アメリカ米60万トン達成へMA米を前倒しで輸入
入札米は遅くても9月末から10月初旬にアメリカで船積みすれば、3週間後くらいに日本に到着することになり、国産新米のまさに出回り時期と重なります。
昨年、米価高騰のもとで、相対的に安価なアメリカ中粒種のカルローズや台湾・ベトナムなどの外国産「短粒種」が20万トン規模で主食用のSBS(売買同時入札)や関税輸入され、スーパーなどの店頭にも並びました。
しかし、輸入米流通の中心は業務用であり、国内産米の業務用への行き場が奪われ、価格暴落の大きな要因となりました。つまり、国産米価格の高騰がない限り、外米需要はわずかしかありません。
安いといっても、アメリカ産でも輸入価格は60キログラムあたり1万円程度します。飼料用米に販売すれば1200~2000円程度となり、アメリカに押し付けられた60万トンの米輸入を続けることになれば、ばく大な差損が毎年積み上がります。政府は、アメリカ米の需要を作り出すため、まずは備蓄へ、そして主食用販売へと道筋をつくることしか考えていません。

