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税と社会保障を考える④ 日本の社会保障費は決して高くない!(2026年06月22日 第1704号)

社会福祉の充実で「みんなで豊か」な日本に
企業の海外移転の理由は優遇税制の有無ではない

欧州では消費税より事業者負担の保険料で

 消費税減税の議論で出てくるのが、「社会保障の財源をどうするか」というものです。政府は「高齢化により社会保障給付が増大し、消費税増税による財源確保と給付抑制が必要」だと盛んにけん伝。税と社会保障一体改革を推し進めています。
 本当に日本の社会保障負担は、過大となっているのでしょうか。GDP(国内総生産)と比較した社会保障費を図1に示します。OECD(経済協力開発機構)加盟の各国と比べると日本の社会保障費は低めであり、ドイツと比べると3・5%(21兆円)低くなっています。
 分野ごとにみると、高齢化対策はフランスの3分の2、子育て・家族対策はスウェーデンの3分の2、失業対策はドイツの7分の1、住宅対策はイギリスの13分の1と、日本の「ぜい弱な福祉」の姿があらわとなります。「社会保障支出が多い」は言い訳にすぎません。
 では、社会保障の財源はどうあるべきでしょうか。図2にOECD加盟国の、社会保障財源の内訳を示します。主たる財源は消費税(付加価値税)ではなく社会保険料収入であることは明らかです。特に注目すべきは、各国とも日本とは逆に事業者負担が労働者負担よりも大きい点です。
 下関市立大学の関野秀明教授は「欧州の福祉国家は、『高福祉・高負担・高付加価値税ではない』。日本は財源を消費税に依存しすぎており、税率が高すぎる」と指摘しています。
 社会保険料の労働者負担についても、合計所得が1000万円以下という多くの労働者が該当するあたりの負担率が大きくなっており、逆進性があることは明らかです(図3)。

大企業・富裕層優遇税制やめれば財源確保可能

 「中小企業には支援を行いつつ、社会保険料の事業者負担を引き上げる必要がある」と関野教授は提案しています。
 合わせて連結決算や研究開発減税など大企業・富裕層優遇税制の是正で年間約37兆円の財源が確保でき、消費税引き下げと合わせて社会保障の充実は十分可能だと試算も示しています。
 「税制の大企業優遇をやめると、海外に移転されてしまう」という懸念はどうでしょうか。図4に海外進出の理由を調査した結果を示します。
 海外進出の大きな理由は「市場の規模」と「市場の成長性」であり、進出先の市場状況が大きく、優遇税制は大きな要因とはなっていません。優遇税制をやめても企業が逃げ出す可能性は低いのではないでしょうか。
 物価高騰で国民生活が苦しくなる中、「強い日本」に踊らされ差別と分断の道を進むのではなく、「みんなで豊かになる」を合言葉に最低賃金引き上げや社会保障の充実を行うことが今必要です。