農民連 食糧法改悪ストップ!院内集会2(2026年07月06日 第1706号)
改定案の問題点が浮き彫りに
農家、消費者・労働者、米屋が怒りの発言
講演する印鑰さん
政府は主食に責任をもて!
農民連は6月22日、「食糧法改悪ストップ!院内集会2」を参議院議員会館とオンライン併用で行い、会場50人、オンライン150カ所の参加がありました。
大企業による食料支配許すな
印鑰(いんやく)智哉さん(OKシードプロジェクト事務局長)が「食糧法改正が作り出す危機に何をなすべきか?」をテーマに基調講演。食糧法改定が日本の食料システムを大転換させる一連の法改定の総仕上げであるとし、「大企業の大企業による大企業のための食料システムの転換だ」と訴えました。
民間備蓄の義務化は、民間業者の負担・コスト増を招き、地域流通業の淘汰(とうた)をねらっているとし、食のあり方がより企業依存になるほか、飢きんや災害時に政府は何もしなくなり、消費者にとっても大問題だと指摘しました。
さらに種苗関連2法についても、国が集めた種苗情報を一部の企業が自由に使ったり、民間企業が種子の都道府県計画を作り提案したりなど、多国籍企業が自治体を乗っ取ろうとしていると指摘。種苗法再改定案では、育成者権の期間が世界最長の35年に改悪されようとしていると批判。農業所得に占める補助金の割合や、農業生産額に対する農業予算の比率も他国との比較では低いことを述べ、「日本は一番農家を支援しない国だ」と強調しました。
最後に食糧法改悪への反対をテコに、大企業の食料システム押しつけを拒否して、人々の食料主権を守る地域に根差した食料システムへの転換を訴えました。
政府の役割放棄農家に責任転嫁
問題提起を農民連の長谷川敏郎会長が行い、これまでの国会論戦で明らかになったこととして、令和の米騒動の原因である米不足をつくり出した21年~22年の17・5万ヘクタール、90万トンの減産の責任に政府は触れていないことを批判。改定案の問題点として、(1)政府は価格に関与せず、政府の役割を需要創出に限定した、(2)「生産調整」の削除は、需給の安定、自給率向上の手立てを失う、(3)生産者の自己責任の明文化、(4)民間備蓄を法定化し、国家備蓄を縮小・解体する、(5)水田を生かした地域農業の再生を破壊し、地方自治体と農協の役割を限定する--などをあげました。
意見交換では、農家、消費者・労働者、米屋を代表して7人が発言しました。
●米農家
減り続ける農家
営農を支えよう
・千葉県農民連の伊藤秀雄さん(匝瑳=そうさ=市)
10人ほどの仲間で栄営農組合の一員として約120ヘクタールの田んぼを耕作している。集落営農があったからこそ農業を続けてこられた。農業インフラは地域の共有財産で、それを支える多面的機能直接支払いは重要だ。
若い人がスマホでドローンを操るなど近代的な農業も利用している。農地・農村を守るために、自然界を壊さない農業を続けながら、この秋の収穫をやりとげたい。
・令和の百姓一揆実行委員会の菅野芳秀代表(山形県長井市)
40代の息子と田植えを終えたばかり。地域でも家族農家が消えかかっている。田んぼから小動物も消えている。2年前、農家の時給は10円と言われていた。政府は小規模農業を締め出そうとしているが、大規模農業も減少しているのが実態だ。小さな農家は消えてほしいという農政の結果が今の窮状だ。
昨年と今年、都内で「令和の百姓一揆」を行い、地方でも全国26カ所に広がった。農家と消費者、市民が一体となって、農業と地域を切り捨てる政治に現場から対抗するために、日本の食と農を守る幅広い国民的な運動を展開し、農政を変えなければならない。
あわせて、長井市では、生ごみ堆肥を活用して育てた農産物を学校・病院給食などに提供する循環型自給圏の実践、「レインボープラン」にも取り組んでいる。
・京都農民連書記長の安田政教さん(京丹後市)
田植えが終わり草刈りに追われている。今年は藻が多くヒエの勢いも強い。水路や畔の草刈りなど、農地を守ってきた地域のシステムが崩れてきた。これまでのやり方ではものを作れない。枝豆のシーズンだが枝豆をつくる農家も激減している。日本の食を守るために農業を再生しなければならない。私も続けられる限りがんばる。
・宮城県農民連事務局長の鈴木弥弘さん(大崎市)
政府が何もしなければ米価は大暴落する。米価暴落を阻止するためにも政府備蓄米59万トンの買い入れ、買い戻しを実施し、過剰在庫を市場から隔離させよう。後継者対策のためにも所得補償、価格保障の導入を。
●消費者・労働者
生産できるよう
農家に補償せよ
・主婦連合会の平野祐子副会長
昨年、意見書「主食である米の需給及び価格の安定確保を求めます」と要望書「消費者と生産者を守り持続可能な農業政策の推進を求めます」を発表した。
民間備蓄は国の責任の民間への押し付けになるのでは。需要に応じた生産は、生産者の意欲をくじくことにならないか。米騒動を通じて、消費者にも生活に影響があることを痛感した。農家を支えるセーフティーネットを拡充し、消費者も納得する安心できる農政に。安全でおいしい食べものの安定供給をめざして一緒にがんばる。
・全農協労連の星野慧書記次長
全国の農協も農政に振り回されて疲弊している。食糧法改定は生存権を脅かし、財産権をも侵害する憲法違反の改悪だ。所得補償、価格保障で再生産可能な所得を。農政を変えるためにみなさんとともにがんばる。
●米屋
日本米穀商連合会(日米連)の染谷友泰さん
25年産米の在庫が多く、それをいかに売りさばき26年産を仕入れるか、会員は悩んでいる。食糧法改定は米屋も無視できない。米の流通にとっても問題。生産者が安定した生産が続けられるようにしてほしい。
未来の子どもに
国産の米残そう
国会議員の決意表明では日本共産党の岩渕友参院議員、社民党の福島瑞穂参院議員が連帯のあいさつ。日本共産党の吉良よし子、白川容子の両参院議員、国民民主党の芳賀道也参院議員、立憲民主党の羽田次郎参院議員の秘書も来場しました。
まとめのあいさつを農民連の岡崎衆史事務局長代行が行い、「さまざまな分野からの発言で、食糧法改定案の問題点が浮き彫りになった。これ以上、農家・農地を減らさず、未来の子どもたちに国産の米を残すために、最後までたたかおう」と結びました。

