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政府の自給放棄を批判 生産者に責任押し付け(2026年07月27日 第1709号)

北海道食といのちの会

札幌 年次総会で農民連・長谷川会長が講演

久田北大客員教授、長谷川会長、富沢道農民連書記長で討論


 北海道食といのちの会の第6回年次総会と記念講演会が7月4日、札幌市内で開かれ、農民連の長谷川敏郎会長が「日本の食の危機打開方策~遺伝子操作・化学物質、アグロエコロジーを考える」と題して講演しました。同会会長の久田徳二・北海道大学客員教授、同会副会長の富沢修一・道農民連書記長との3人によるディスカッションにも参加し、意見交換しました。80人ほどの道民が参加し、熱心に耳を傾けました。




討論する(右から)長谷川会長、久田さん、富沢さん

講演する長谷川会長

食糧法の改悪で輸入米に道開く

 長谷川会長は講演で、この日国会審議中だった食糧法改定案を「政府が食料自給を放棄し、主食の供給の責任を生産者に押し付けるものだ」と厳しく批判。米国産米を政府備蓄米に用いようとしている点、農協や地方自治体が地域農政に果たす役割を否定している点等についても指摘しました。
 さらに「2024年の食料・農業・農村基本法改定で食料自給率目標を『向上』を目指すものでも『指針』でもないものにし、『その他の食料安全保障の確保に関する事項』の一つとして『改善を図る』程度の位置付けに格下げするもの」と分析しました。
 しかも、食料・農業・農村基本計画(2025年~30年)では、総合食料自給率を算出する分母となる「1人1日当たり総供給熱量(2248キロカロリー)」ではなく、「平時における国民の日常生活に必要な摂取熱量(1850キロカロリー)」を持ち出していることに関し、「終戦直後の食糧難の時代の餓死寸前レベルの摂取熱量だ」と批判。これを分母にして、供給熱量(860キロカロリー)を46%(24年度)と計算し、自給率が実態(38%)よりあたかも高いように見せている点も踏まえ、自民党農政が自給率を昔から目の敵にしてきた経緯を詳しく解説しました。

種苗関連2法と南米EPA批判

 また、重要品種の育成と種苗生産振興を目指す「新育苗法案」と、種子の独占期間の延長や輸出差し止めを容易にする「種苗法改定案」については、「国家主導で民間企業による種子開発・生産というバイパスを作ることで、地方自治体の種子生産に大きな影響が出る可能性が高い」と指摘。多国籍企業・民間企業による地方自治の侵害が懸念される点に警鐘を鳴らしました。
 さらに、南米の関税同盟である南米南部共同市場(メルコスール)との経済連携協定(EPA)の交渉に政府が前のめりになっている事態については、大豆やトウモロコシ、牛肉などで北海道農業に影響が懸念され、「自動車販売やレアメタル確保を目指す流れが、またも日本農業を犠牲にしようとしている」と厳しく批判しました。
 遺伝子組み換え作物やゲノム編集生物などを作り出す遺伝子操作、乾田直播(は)で使用量の増加が懸念される除草剤の問題にも触れたうえで、「多様な担い手の農法と伝統知を生かし、有畜複合などの循環型農業、アグロエコロジーで、地域の豊かな生態系と農業を再生し、未来世代に引き継ぐ責務」を強調しました。

自給率向上掲げ国民的な運動を

 講演後のディスカッションでは、1999年制定の食料・農業・農村基本法の論議の時に農水省担当記者だった久田会長が、「自給率向上」と「自給率目標」が同法と基本計画で明文化された当時の経緯を紹介。「農水省が自給率向上を目指していた時代は確かにあったが、今日はそれが明らかに後退し、放棄されようとしている」と指摘しました。
 また道内で米と野菜を生産している富沢副会長は、「農家戸数が減り、地域農業の維持が簡単でなくなっている。安全安心な食を求める消費者と幅広く連携していく必要もある」などと話し、北海道食といのちの会の存在意義も強調しました。長谷川会長は「自給率向上を掲げる国民運動を」と呼びかけました。
 参加者の中からは「戦争が頻発している時代、今こそ食料自給が大事なのに、なぜ政府は逆走するのだろうか」「遺伝子操作された食など食べたくない」などの多くの意見や質問が出されました。感想文では「勉強になった」「大変良かった」などの声が多く寄せられました。