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クロマグロ漁獲枠 大規模まき網漁業優遇から小規模漁業優遇へ政策転換せよ(2026年08月03日 第1710号)

沿岸漁民連(JCFU)が水産庁長官要請とシンポ開催
沿岸漁民漁獲枠の大幅増加実現を

シンポジウムで講演する櫻本名誉教授

水産庁長官(中央)に要請する漁民の代表ら

シンポジウムで報告する漁民たち。
右が二平さん

 太平洋クロマグロの来年以降の国別漁獲枠を協議するWCPFC(中西部太平洋まぐろ類委員会)の国際会議が長崎で7月8日から14日の日程で開かれました。これに先駆けて全国沿岸漁民連絡協議会(JCFU)は7月3日にクロマグロの沿岸漁獲枠の大幅増を求めて水産庁長官と面会し、全国でのクロマグロ増大の状況を踏まえ、「沿岸漁業重視のTAC(漁獲上限)制度への転換を求める要望書」を提出しました。

 

二平 章
(全国沿岸漁民連事務局長)

 

漁獲規制の誤り漁民生活困難に

 さらに午後からはJCFU沿岸漁民シンポを衆議院議員会館で開催。櫻本和美東京海洋大学名誉教授が「WCPFCにおけるクロマグロ管理の問題点」と題し、WCPFCと水産庁の過度なクロマグロ漁獲規制の誤りを指摘する講演を行いました。また、全国各地の沿岸漁民からは、増えすぎているクロマグロの状況や沿岸漁民への厳しすぎる漁獲規制により困窮する現場からの訴えが出されました。
 太平洋クロマグロ資源は2010年に一時的に最低水準の1万2千トンになったことから(図)、WCPFCは2025・16年の会合で、(1)親魚資源量を15年から10年後の24年までに4・3万トンにすることを「暫定回復目標」、20年後の35年までに12・5万トンにすることを「回復目標」とする、(2)そのために2002~04年を基準年として(2)30キログラム未満の小型魚漁獲量を基準年平均から50%削減する、(3)30キログラム以上の大型魚の漁獲量も基準年の平均水準以下に据え置くと決定したのです。
 この規制内容については日本の水産庁側が積極的に提案したとされています。そして水産庁は2018年に「クロマグロの資源管理に関する法律(TAC法)」を制定し、罰則を伴う本格的な漁獲量規制に踏み出すのです。WCPFCが決めるのは各国の漁獲割当量までで、国内配分は各国の自主性に任されています。

沿岸漁民を冷遇我慢強いられて

 沿岸漁民が問題としたのは、(1)なぜ沿岸漁業が不利となる2002~04年を基準年として小型魚漁獲量を50%も大幅削減をするのか、(2)なぜ、小型魚や産卵魚を多獲・乱獲してきた大規模まき網漁業を優遇し、資源にやさしい小規模沿岸漁業を冷遇する国内配分枠にするのかでした。
 大規模まき網漁業は全国で40数隻なのに対し、小規模沿岸漁業ではクロマグロひき縄つり漁船だけでも2万隻以上の登録漁業者がいます。TAC法施行の18年に水産庁が示した配分枠は小型魚を大規模まき網に1500トン、沿岸漁業に1529トン、大型魚を大規模まき網漁業に3063トン、沿岸漁業に1125トンと大規模まき網優遇の内容でした。
 そのため、年間収入をクロマグロに依存する沿岸ひき縄漁業者の漁獲枠は年間数本だけとなる地区もでたため、漁業をあきらめる漁民もでたのです。JCFUでは、増え続けるクロマグロの現場状況を訴えながら、毎年、沿岸漁業の漁獲枠増加を水産庁に要望し続けてきましたが、水産庁はそれを無視、沿岸漁業冷遇の姿勢を改善することはなく沿岸漁民は7年間我慢を強いられてきたのです。

クロマグロの資源回復を達成

 しかし、ここにきて、WCPFCは24年の資源評価で、「暫定回復目標」は7年も早く17年に、「回復目標」は14年も早く21年に達成されたことを認めたのです(図)。櫻本名誉教授も指摘するように「回復目標」が14年も早く達成されたことは、不必要に過大な漁獲規制を実施していたことであり、沿岸漁民に過度な負担を押し付けていたことです。
 WCPFCの今後の課題では「回復目標」達成を踏まえて、小型魚、大型魚とも大幅な増枠を実現すること。日本国内の配分にあたっては大規模まき網漁業優遇から小規模沿岸漁業優遇へ大きく政策転換することを水産庁に強く要請し続けていくことが重要な課題となっています。