軍事よりも食料を 自給率向上は世界平和に貢献(2026年08月03日 第1710号)
国会会期末アクション
食と農から平和を考える
改定食糧法、種苗関連2法に抗議
「食と農、平和を守るたたかい引き続き」と
声をあげる参加者
討論する(左から)印鑰、池上、長谷川の各氏
クロストーク
近畿大学農学部名誉教授 池上甲一さん
OKシードプロジェクト 印鑰智哉事務局長
農民連 長谷川敏郎会長
農民連は7月17日、参議院議員会館で、シリーズ「食と農×憲法と平和」の一環で、国会会期末アクション「軍事よりも食料を~食と農から平和・安全保障を考える-食糧法改定・種苗法改定・育苗新法を問う-」を開きました。会場に65人、オンラインにのべ150のアクセスがありました。多くの参加者は、SNSやデモカレンダーで企画を知って参加しました。
主催者あいさつで、農民連の長谷川敏郎会長は、食料自給率38%の日本が戦争や危機事態にいかにぜい弱かを指摘。憲法前文の平和的生存権を引用し、「食料を増産し、欠乏を防ぐことは、平和国家として国際社会に対する最低条件。農業は、憲法13条の幸福追求権の基本。食によって生命が維持され、自由と幸福を追求する基礎が築かれる。農業なくして、25条の生存権も成立しない」と強調。「自給率38%は、『いつ食料がなくなるのか』という恐怖心と同居している状態で生存権の侵害。自給率向上の運動は、世界平和に貢献する運動だ」と指摘し、「食と農を守ることが平和憲法を守るために重要だ」と訴えました。
食と農守る運動地域から広げる
基調講演を、近畿大学名誉教授の池上甲一さんが「平和と安全保障を食と農から考える」と題して行いました。
自由と平和は安全保障の大前提であり、不戦の国際的試みとして、1928年に調印された不戦条約では、人々の交流や外交、人々を主役にした協定が実施され、常備軍をもたないコスタリカなどの取り組みも紹介。しかし、日本では、戦争ができる国への準備が着々と進められ、高市・自民党政権が軍事国家への流れを加速・強化していることを批判しました。
食の安全保障では、崩壊の際に立つ日本の食をどう立て直すかが課題だとして、食の確保こそが安全保障の中核であり、地域圏フードシステムの確立など自分たちで食料を確保しようとする仕組みを確立し、輸入依存の食農システムとエネルギー利用を変え、広域よりも地場流通の実施、地場産利用のための自然・再生可能エネルギーへの転換を訴えました。
特別報告として、「種苗関連2法案成立は何を意味するか?」のテーマで、OKシードプロジェクト事務局長の印鑰(いんやく)智哉さんが講演。
これまでの種苗のあり方として、都道府県ごとに地域の農業・流通団体が協議し、産地品種銘柄や奨励品種などを決定するなど、地域のニーズから作った都道府県の種子計画を全国で調整して計画を作る方式がとられてきた経緯を述べました。
一方、新育苗法では、国の基本方針に基づき、新品種の開発や種苗生産をトップダウンで決めようとしていると危機感を示し、種苗法の再改定で育成者権の期間が一般の植物で25年から35年へと世界でも異常な長さに引き延ばされた問題点を指摘しました。
今後、(1)地方自治体が海外企業を含む大企業の下請けになる、(2)地域の種苗企業が駆逐され種苗業界の独占が進む--ことを懸念し、「種子は基本的人権の基礎であり、種子を握ることで、食料主権も人権も守られる」と訴えました。
その後、長谷川会長、池上さん、印鑰さんの3氏によるクロストークが行われ、「平和・安全の保障を食と農から考える―本当に安心して暮らせる社会とは―」のテーマで討論しました。
食料・平和守る決意を各団体が
リレートークでは、全国商工団体連合会を代表して東京都文京区の豆腐店店主、小林秀一さんが「農家が減ってしまえば大豆が手に入らなくなるのではと不安になる。農家が安心して農業ができるよう国が援助すべき」と述べました。
「国民の食糧と健康を守る運動全国連絡会」(全国食健連)を代表して、土井直樹事務局長は、「安心して食べられることは平和の条件。高市政権は戦争する国家づくりに突き進み、それを壊そうとしている。農家の所得補償、価格保障のための予算を増額すべき」だと訴えました。
自治労連の秋葉一雄中央執行委員は、3月まで自治体職員として土地改良事業に携わってきた経歴を述べ、「農村の衰退により土地改良区も疲弊しており、国の補助がないとやっていけない状況だ。あと10年もすれば、施設や農業用水も老朽化が進み、農業の衰退に拍車がかかる」と警鐘を鳴らしました。
日本平和委員会の岸松江代表理事(弁護士)は、「太平洋戦争で戦死者の6割以上が戦闘でなく餓死によるものという現実に驚いている。トランプ米大統領と一緒に国際法を踏みにじり、憲法を変えようとしている高市政権は許せない。一緒に食料と平和を守っていきたい」と表明しました。
農民連青年部の宇都木恒太さんが、農民連会員・賛助会員への入会、新聞「農民」の購読を呼びかけました。
最後に、まとめと行動提起を満川暁代事務局次長が行い、「改定食糧法は成立したが、たたかいをあきらめてはいけない。水田つぶしに対抗し、アグリビジネスの横暴を許さないために、地域から、食と農、平和を守る声をあげ、政治を動かそう」と訴えました。
国会議員は、国民民主党の芳賀道也参院議員、日本共産党の岩渕友参院議員、日本維新の会の嘉田由紀子参院議員、社民党の福島瑞穂参院議員があいさつしました。

