アイコン 新聞「農民」

第3回オーガニック給食フォーラム(2026年08月10日 第1711号)

子どもたちの笑顔あふれる食材で
持続可能な世界をめざして
日本農業の再生を

あいさつする浅野・小山市長

各地の実践を交流しました

小山市の学校給食のモデル

栃木・小山

 第3回全国オーガニック給食フォーラムが7月25、26の両日、栃木県小山市で開かれ、全国から700人以上が参加しました。主催は、同フォーラムin小山実行委員会。大会テーマは「こどもたちの未来をひらくオーガニック給食」で、「えがおでつなぐ食・農・環境・まちづくり」をサブタイトルに開催されました。

食の安全求めて運動立ち上げて
 1日目(25日)は、はじめにオープニングセレモニーが行われ、主催者を代表して実行委員会委員長の浅野正富・小山市長があいさつ。「食料自給率が38%しかなく、後継者不足が深刻な日本の農業は危機にあります。オーガニック給食を推進し、有機農業、そして持続可能な農業に転換していくことは不可欠。多くの自治体に参加してもらい、子どもたちの笑顔があふれるオーガニック給食を全国に広げましょう」と呼びかけました。
 「ここまで進んだオーガニック給食の取り組み」として基調報告があり、協力団体であるオーガニック給食マップ事務局の野々山理恵子さん、杉山敦子さん、遠藤菜美恵さんが報告。農民連食品分析センターが学校給食パンから残留農薬を検出したことがきっかけで、食の安全への要求が高まり、全米母親団体「マムズ・アクロス・アメリカ」のゼン・ハニーカットさんが来日し、子どもの健康を守ろうと企業や行政に働きかけている活動から学び、日本でも運動をという声が広がりました。
 その後、千葉県いすみ市での学校給食100%有機米の実現、熊本での国産小麦を求める署名活動など各地で食の安全を求める取り組みが進んだ事例を紹介。2022年に第1回全国オーガニック給食フォーラムを東京都中野区で開いたのを皮切りに、第2回を茨城県常陸大宮市で開催。この間、自治体や農協、生協などが全国オーガニック給食協議会を立ち上げ、国会議員も議員連盟を設立するなどの事例を報告し、第3回につながった経緯を詳しく述べました。
地球の未来開く有機農業推進を
 基調講演では、「有機農業と農法について」のテーマで舘野廣幸さん(NPO法人民間稲作研究所理事長)が生命を尊重する農業への転換を求め、有機農業がすべての生命体との平和的な協同作業だと強調。「有機農業を広めていくことが日本だけでなく地球の未来にとっても重要だ」と述べました。
 2つめの講演として「食・農・環境・まちづくりと世界の潮流」と題して古沢広祐さん(國學院大学客員教授、NPO法人「環境・持続社会」研究センター代表理事)が、気候変動、食料危機など複合的な危機の時代に、世界から注目されているアグロエコロジー的な転換の必要性を語り、オーガニック給食の実現・展開、地域循環型社会実現の可能性や地域社会の未来像について、多角的に探究していくことを呼びかけました。
気候危機を回避食文化を豊かに
 午後からは、韓国からの報告として、「韓国でのオーガニック給食無償化の取り組み」を田中博さん(韓国草の根塾代表)が親環境無償給食実現の運動を紹介。パク・ミジンさん(希望の食べものネットワーク運営委員長)は、食べものの公共性を前提に、「よい食」がすべての子どもたち、すべての国民に保障されるべきという考えで、保護者、農家、栄養教諭、市民などあらゆる立場の人々を巻き込みながら運動を進めてきたことを報告しました。
 農家のキム・チェホンさんは、自ら親環境農産物を学校給食に供給し、給食に安定供給するシステムを、行政や学校関係者、生産者など多くの人たちが議論を積み重ねながら構築してきた成果を述べました。
 座談会「なぜ私たちはオーガニック給食をめざすのか~韓国の取り組み報告を受けて」では、宇都宮大学の西山未真教授を司会に、5氏が討論。野々山さん(オーガニック給食マップ事務局)は、子どもたちの身体づくりと日本の未来の社会づくりという2つの目的について語り、フリージャーナリストの吉田太郎さんは、「アグロエコロジーに立脚したローカルフード、地球健康食が気候危機を回避し、石油や武器に依存しない未来を作り出す一歩となる」と強調。NPO法人全国有機農業推進協議会の高橋優子副理事長は、「成長期の子どもの心と体を守り、本物の味を知る豊かな食体験にもなる。土・水・生きものを守り、地域農業や食文化を未来につなぐ」と述べました。
 京都府亀岡市の桂川孝裕市長は、「世界に誇れる環境先進都市」をめざすことを市の大きな方向性とし、オーガニック給食は有機農業者の安定的な販路の確保だけでなく、子どもたちや保護者が地域の農業や環境、食への理解を深める「食育」にとっても大きな効果があると指摘しました。いすみ市農林課の鮫田晋さんは、「農業の本質的理解者をつくる取り組みで、これを全国に広げることは、農業の本質的価値を国民的常識とし、現在の日本が抱える深刻な課題を克服することにつながる」と訴えました。
土に触れながら農と環境を学ぶ
 事例発表「エディブル・スクールヤードで変わる学校風土」では、一般社団法人エディブル・スクールヤード・ジャパンの堀口博子代表が、「ともに土に触れ、野菜を育て、収穫し、調理し、ともに食べることで、子どもたちは生命のつながりを体全体で学んでいく」と語り、有限責任事業組合風景社の簑田理香さんは、「食べることを支え、食べることが支える農と環境との連関を体験的に総合的に学ぶ機会が増えることが、子どもたちが『生きる力』を育む第一歩になる」と述べました。
 その後、参加者は8つの会場に分かれて次の分科会に参加しました。
 「有機農法の現在と未来~いきものと共に乗り越える気候変動~」「有機農産物や地場農産物を本格的に使用する学校給食の体制について考える」「こどもたちと食・農・環境の学びをどうつくる?」「現場の意識を政策のチカラに~オーガニック給食がひらく『食と農』の架け橋~」「生物多様性を育む農業国際会議(ICEBA)7・5」「韓国オーガニック学校給食20年の成果~日本の仕組みに活かすためには~」「アグロエコロジーが目指すもの~子どもたちが幸せに暮らせる社会~」「地域の未来をひらくオーガニック給食の“その先”~生産・流通・消費の拡大~」です。
食料主権確立し農家への補償を
 2日目(26日)は、講演「日本農業再生のために」と題して弁護士で元農林水産大臣の山田正彦さんが、食料自給率38%で、農薬や化学肥料も海外に依存している現状を批判。「日本の農業を立て直し、国民に食への権利、食料主権を保障し、子どもたちに安全な食を提供するために力を尽くさなければならない」と述べ、オーガニック給食はその手段の一つであり、さらに農家への環境直接支払い、所得補償が必要だと強調しました。
 分科会報告と意見交換会では、8つの分科会の座長らが登壇し、会場参加者と意見交換しました。
 参加者は「オーガニック給食と有機農業を推進して、すべての人々のえがおでつなぐ持続可能な世界の実現をめざします」とする宣言を全員一致で確認しました。
 最後にクロージングセレモニーが行われ、2年後の交流会を開催する亀岡市の桂川市長が、「各地の取り組みをさらに発展させ、2年後に亀岡でお会いしましょう」と閉会あいさつを行いました。