さいたま食肉市場廃止は全国の生産者に影響大(2026年08月31日 第1713号)

清水池 義治
北海道大学大学院准教授
(農業経済学・農業市場論)
地方自治体等が開設する卸売市場は重要な公的機能を果たしている。
中小生産者の販売先確保のほか、せり・入札取引を通じた公平・公正な指標価格の形成が代表的である。多くの売り手と買い手が参集して、フェアなオークション形式で決定される価格は、誰もが納得できる「合理的な価格」である。そのため、卸売市場外の取引でもせり価格は参考にされる。
食肉の卸売市場経由率は10%未満と言われるが、それは卸売市場の重要性が低いことを意味しない。他品目と比べて自給率の低い食肉は、輸入も含めて計算される卸売市場経由率が低く出やすい。国産に限ると、卸売市場経由率は牛肉33%、豚肉13%程度に上昇する。
また、食肉の特徴に卸売市場におけるせり・入札取引の高さがある。青果物20%程度に対し、食肉は50%程度と高い。実は、国産流通量全体に占めるせり・入札取引の割合は、青果物も食肉も大差ない。これ以上、卸売市場が減少してせり取引の割合が低下すれば、大手スーパーなど小売りサイドからの影響が強まり、生産者にとって不利な価格をもたらす可能性があるだろう。
さいたま市の卸売市場廃止は、特定地域だけではなく、全国の生産者・関係者に関わる問題である。

