2026年農民連青年部交流会(2026年09月07日 第1714号)
和歌山・紀の川で開催
地域を活性化し、人を迎え入れる取り組み学ぶ
地域農業にはやることがいっぱい
紀ノ川農協の松本和広専務(左から2人目)から集荷場の説明をうけました
地域の課題をみんなで話し合いました
熊井自動車の高瀬さん
田んぼサッカーを行った田んぼ(右が齊藤さん)
元青年部の高橋範行さん(左)のほ場も見学しました
農民連青年部は8月20、21の両日、和歌山県紀の川市で2026年夏の学習交流集会を開催しました。基幹的農業従事者が20年前から半分以下となる厳しい情勢で、青年部は地域の総合力を生かした農山村の発展を模索してきました。今回の交流会では「地域の輪で農の未来ひらくきっかけつくろう」をテーマに、農村の活性化のために他産業や行政とも協力し、地域全体で新規就農者を育て、移住者を迎え入れている「紀ノ川農協」と「紀の川流域カンパニー」の取り組みを学びました。
消費者と交流し生産者も育てる
紀ノ川農協は、農民連の会員が中心となって立ちあげた販売専門農協で和歌山県全域に組合員がいます。高齢化による深刻な担い手不足や耕作放棄地の増加などの問題に対応し、持続可能な社会・農業を作るため、2016年に「交流」「生産力向上」「環境保全型農業推進」の3つの専門委員会を設置しています。
交流委員会では「紀ノ川農縁隊」を組織し、農家の作業日程をもとに生産者が農協に日程調整を依頼。登録者が援農に来ています。このことを通じ、課題を共有する生産者と消費者間の新たな交流・より深い関係づくりを進めています。
生産力向上委員会は担い手育成と第三者継承、生産規模の維持拡大を進めています。18年に就農希望者の研修を行うトレーニングファーム部会「ふたば塾」を設置し、県知事の承認も受け就農準備資金の申請にも対応します。自治体とも協力し、発足以来21人が研修を受け、19人が就農、2人が研修中です。
一緒に取り組むために農協に加入する農家・法人も現れ、ふたば塾の受け入れ農家は21組にまで増えるなど、仲間づくりにもつながっています。
補助金の支援で経営に安心を
研修生を受け入れている佐田政彦さんの畑で、佐田さん親子と研修生・卒業生らに話を聞きました。「倉庫の確保は難しい。リタイアする人から農機具やコンテナ、倉庫などが出た情報を集め、紹介している」と研修生への支援体制が紹介され、研修・卒業生からは「補助金の申請など農協がすぐに対応してくれるので助かります」と感謝の声が上がりました。
異業種が協力し地域おこし実践
もう一つの視察・学習先が「紀の川流域カンパニー」です。紀ノ川農協や地域の車屋さん、建設会社など5社が出資して作ったまちづくり会社で、体験農園や空き家を改修した宿泊施設、教育研修事業に取り組んでいます。
体験農園事業では、収穫体験などのほかに、今年は田んぼサッカーを実施。60戸ほどの北長田集落に300人を超える人が訪れ、参加者だけでなく飲食の出店や救護のための医療関係者の協力など、新たなつながりも生まれる取り組みとなりました。「来た人たちに、流域カンパニーの事業にどうかかわってもらうかの働きかけまで設計できていなかった。次回はそこまで事業を作りきることが目標です」と、地域おこし協力隊として流域カンパニーで働く齊藤太朗さんは振り返ります。
車屋さんも参加 一社では守れない
流域カンパニーに出資する熊井自動車の高瀬直志取締役(流域カンパニー取締役)からは、「車屋が、街づくりに出資した理由」と題した話を聞きました。
移住・定住・新規就農が増えれば関係人口が増え、車を使う人も増えることから「人が住み、通い、働く地域を作ることが最大の営業活動」と考え、「社会貢献であると同時に正真正銘の事業投資でもある」と説明。使われなくなっていた自社の建物が流域カンパニーの宿泊施設に再生され、5社がそろっているからこその成果が出ました。
高瀬さんは整備士であると同時に、農機メーカーで整備を担当していた経験も生かし、「動くもの全般の受け皿」を目指しています。「農業が続く地域には、車がいる。車が直せる地域には人が住める」と地域を守るために多くの人に協力を呼び掛けています。
最後にアグロエコロジーを実践している高橋範行さんの田んぼを見学。泥を手でさわるなど五感も使って学びました。
参加者からは「佐田さんのもうかる、後継者のいる(育てている)農業経営と紀の川流域カンパニーの地域に対するアプローチはとても考えさせられました。まだ地域農業にはやることがあることに気付かされ、今後の行動に生かしていこうと思います」と感想が寄せられました。
青年部は今回学んだことを地域に持ち帰り、持続可能な農村を目指して取り組んで行きます。

