概算金を下回る米価大暴落(2026年09月21・28日 第1716号)
農家も米屋さんも見殺しにする高市政権
需要に応じた米生産の大失敗
生産が困難ななかでも稲刈りにがんばっています
政府は2025年産米21万トンの買い戻しを公表し、昨年31万トンを落札した全農(全国農業協同組合連合会)など集荷業者と見積もり合わせ(随意契約)を9月18日頃から開始しました。9月中の買い入れを行うとしていますが、銘柄・数量や倉庫なども未定でいつになるのかのメドもこれからという状態です。
21万トン買い入れでは過剰の改善にならず
21万トンの買い入れでは、まったく過剰の改善にはならず、政府も引き続き需給状況を見ながらさらに買い入れを行うことも表明していますが、来年度予算で買入予算が増額要求されていることから、早い時期の買い入れではなく、米価下落に歯止めがかかる見通しは全くありません。
取引そのものが極めて低調な新米の市場価格は、4割以上も前年から下落している概算金・買取価格にも届かない価格となっているのが実態です。茨城あきたこまちや千葉ふさこがねなどは1俵(60キロ)1万2千円台、富山てんたかくでも1万3千円台などとなっています。
概算金も公表されているのは、委託契約内のものだけで、契約超過分は3千~5千円の減額での集荷対応となっています。この結果、農協以外の集荷業者なども例年なら、農協概算金を上回る価格設定とするところが、今年はマイナス価格での集荷です。
大規模法人などでは、収穫した米を保管する場所がないため、順番に販売しなければならず、さらに安い価格で卸売業者や大手小売りなどに直接営業を行っており、関東コシヒカリで置き場1万円、九州着値1万1500円などの取引が成立したとの情報もあります。生産を支える販売価格を実現することは不可能な状況です。
卸・小売りでも新米が安いとは言え、資金力のあるところしか買えず、安い原料で早く売りさばくために5キロ1980円という商品も各地で出ています。中・外食向けには1キロ500円を切り300円台もありうる状況です。 CPTPP(環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定)のオーストラリア特別枠のSBS(主食用輸入米)入札も全量落札が続いていますが、国内業者への販売価格は、1キロ税込みで265円程度です。円安などで輸入価格が上がっており去年より価格は上昇していますがマークアップ(買入価格と販売価格の差)は下がっています。
相対取引価格に連動するとされている堂島取引所「米穀指標」も、ついに27年7月限月が1万6130円(60キロ)まで下落しました。
暴落市場を作った政府責任を明らかに
このような異常な市場環境を作り出したのは、コロナ禍で生まれた過剰を、「需要に応じた生産」方式で、生産者に米の大量の減産を実行させ、米不足を招き、価格高騰させた結果、外米輸入を増やし、飼料用米などから主食用への大量の転換、さらには遅きに失した無原則な政府備蓄米販売という政府の需給操作の「失敗」が原因です。
政府の責任追及と空っぽ状態の政府備蓄米の早期復元を求めて世論を広げ市場の安定を図ることが、26年産米の販売環境の改善、27年産に向けた安定生産への条件となります。
農民連が提起している「全国農家要求1万戸対話運動」にも広く取り組み、所得補償・価格保障の制度実現でこそ、持続可能な米作り、農業経営につながることを多くの
農家とともに目指すことも強力に求められます。
このままでは日本から農家がいなくなってしまう
新潟県農民連・佐藤恒夫さん(長岡市)
今年は平年よりも収穫はいい方ですが、今の米価には怒り心頭です。去年より4割~5割も安く、去年の米価で「米作りを続けよう」と言っていた農家も「今年でやめよう」と言う人が増えるのを心配しています。今年の秋は、肥料や資材の高騰もあり、厳しい状況です。
大規模農家ほど経営が厳しく、従業員にも給料が払えず、法人の倒産が増える可能性が高い。
米の価格と需給に国が責任を負わず、農家に責任を押しつけるのはおかしい、と農家はみな声をあげています。
集荷業者も在庫を抱え、予約以外は引き取らないと言っています。引き取っても「値段はわからないよ」と言われるそうです。
21万トン買い戻しもまったく足りません。早急に100万トン水準を回復すべきです。
日本から農家がいなくなってしまうということが現実味を帯びています。
輸入米に頼っていては、国産のおしいお米を食べられなくなってしまいます。それを防ぐためにも、農政の抜本的な転換が求められます。
鉄砲の玉やミサイルで国民の命は守れない!
埼玉農民連副会長・松本慎一さん
「古米が5キロ2800円、新米は2350円」という今のスーパーの異常な米価格は、単なる偶然ではなく、政府の米政策の失敗・破綻がつくりだしたものです。
7月に改定された主要食糧法は、米の生産と流通に対する政府の責任を放棄し、「生産者が需給に責任を持ち、備蓄も民間に」と、改悪しました。この改悪がどんなにひどいものかを、見事に証明したのが、今起きている前代未聞の混乱ではないでしょうか。
問題の根っこにあるのは、アメリカと経済界いいなりの農業政策です。国家予算は約20年前の85兆円から今年は122兆円に増えたにも関わらず、農水予算は3兆4000億円から2兆9000億円に減額されています。農民連関東ブロックが今年2月に開いた食料シンポジウムでは、「農水予算を5兆円に」「米備蓄は半年分を」などを農水省に要求することを確認しました。まともな政府なら、これらの実現に全力をあげるべきです。

