【会長談話】21万トン備蓄米買戻しについて
2026年9月2日
農民運動全国連合会 会長 長谷川敏郎
鈴木憲和農水大臣は9月1日、政府備蓄米の買い戻しを開始すると発表しました。25(令和7)年産の21万トンが対象です。
(1)農民連は昨年11月から、政府備蓄水準の回復を要求してきましたが、やっとの決断です。24・25年の米不足でも備蓄米放出は遅すぎました。今回の買い戻しの決断はさらに遅れ、量も少なすぎます。21万トンは本来25年度中に買い入れすべきものでした。
(2)備蓄期間が経過した20(令和2)年産15万トンを飼料用として販売する方針も表明されましたが、これは従来公表してきた政府備蓄米在庫32万トンは、食べられない米も含めた水増し発表だったことを浮き彫りにするものです。さらに、飼料用として処理されるため実質は6万トンしか増えず、政府が必要な備蓄水準としてきた100万トンの3分の1のままにすぎません。これでは国民の食料安全保障の上でも不十分です。放出した備蓄米59万トン全量を早急に買い戻すべきです。
(3) 鈴木大臣は、備蓄米の買入価格について「会計法令にのっとり適切に対応する」と述べましたが、入札方式では、現在の暴落している市場価格になります。農協などが60キロあたり3万円前後で買い入れた25年産米を政府が率先して2万円以下で買いたたいて購入することになります。食料システム法でも米の生産コストは2万535円です。最低限のコストを割り込む価格で政府が買い入れれば、価格暴落にさらに拍車をかけることになります。
(4)各地でJA概算金が提示され、前年比4割減の価格に農家は心が折れています。関東の早場米地帯では「集荷業者が今年は買いに来ない」「JAに出そうとしたら一般米扱いで概算金からさらに5000円も値引きされる、どこに出荷すればいいのか」と悲痛な叫びが渦巻いています。
あらゆる生産資材が高騰し、いまの米価では営農を継続できません。現在の市中取引価格は1万2000円程度となっており、米価暴落が放置されれば、離農に拍車がかかり、米すら自給できなくなります。
(5)いま政府に求められるのは、買い戻し発表を小出しにせず、放出した備蓄米全量と25年買い入れ予定の合計80万トンの買い戻し・買い入れを表明し、「じゃぶじゃぶ」を一刻も早く解消することです。消費者の米価対策は、別立ての物価高騰対策として行うべきであり、農家に犠牲を押し付けることは許されません。
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